『高橋御山人の百社巡礼/其之六拾九 埼玉・滑川 宅地開発迫る月の輪殿の館跡』のカバーアート

高橋御山人の百社巡礼/其之六拾九 埼玉・滑川 宅地開発迫る月の輪殿の館跡

首都圏郊外・東武東上線「月の輪駅」 その由来を伝える神社と九条兼実の伝説

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高橋御山人の百社巡礼/其之六拾九 埼玉・滑川 宅地開発迫る月の輪殿の館跡

著者: 高橋 御山人
ナレーター: 高橋 御山人, 盛池 雄峰
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このコンテンツについて

東京から埼玉県北西部へ伸びる東武東上線。その比較的終点に近いあたりに、月の輪という不思議な名前の駅がある。当駅は埼玉県比企郡滑川町月の輪にあり、その地名の由来を伝える月輪神社が近くに鎮座する。社殿は一段高い場所に建っていて、その基壇になっている部分は、調査の結果古墳である事が分かっている。神社の創建は、白鳳時代に大宮・氷川大社を勧請したことにより、主祭神は氷川大社と同じスサノオノミコトである。その次に挙げられている祭神として、月輪兼実(つきのわかねざね)の名がある。これが地名と神社名で由来であるが、月輪兼実とは、平安末期から鎌倉初期にかけて活躍した公卿で、藤原氏五摂家の一つ九条家の始祖・九条兼実のことであり、出家後京・愛宕の月輪寺に隠棲したため、月輪殿という別名がある。当地には、その月輪兼実が一時居を構えていたという伝承があるのである。神社と道路を挟んだ位置にある天台宗月光山福正寺は、神仏習合時代には神社と一体のものだったと思われるが、その境内にある勢至堂には、兼実が常に尊崇していた勢至菩薩が祀られている。そこには狛犬の代わりに、勢至菩薩に仕える兎の像が置かれていて、兼実伝説の真偽は別としても、月の信仰が確かにあることが窺われる。首都圏の開発の波が押し寄せる、郊外の地名に秘められた、伝承の謎を解く。(C)高橋御山人2016 旅行記・解説

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